八 一 太刀の道と云事
原文
- `太刀の道を知る
- `と云事は
- `常に我さす刀をゆび二ツにて振る時も道すぢ能知りては自由に振もの也
- `太刀をはやく振らんとするによつて太刀の道ちがひて振がたし
- `太刀は振りよき程に静に振る也
- `或は扇或は小刀など遣ふ様に
- `はやく振らん
- `と思ふによつて太刀の道ちがひて振がたし
- `夫は
- `小刀きざみ
- `といひて太刀にては人のきれざるもの也
- `太刀を打さげてはあげよき道にあげ横に振りては横にもどりよき道へもどしいかにも大きにひぢをのべて強く振る事是太刀の道也
- `我兵法の五ツの表を遣ひ覚ゆれば太刀の道定まりて振よき所也
- `能々鍛錬すべし