二 一 場の次第と云事
原文
- `場の位を見分る所場に於て
- `日をおふ
- `と云事有
- `日をうしろになして構ふる也
- `若所により日をうしろにする事ならざる時は右のわきへ日をなす様にすべし
- `座敷にてもあかりをうしろ右脇となす事同前也
- `うしろの場つまらざる様に左の場をくつろげ右の脇の場を詰めて構度事也
- `夜にても敵の見ゆる所にては火をうしろにおひあかりを右脇にする事同前と心得て構ふべきもの也
- `敵を見おろす
- `と云て少しも高き所に構ふる様に心得べし
- `座敷にては上座を高き所と思ふべし
- `扨戦になりて敵を追回す事我左の方へ追回す心難所を敵のうしろにさせ何れにても難所へ追懸る事肝要也
- `難所は
- `敵に場を見せず
- `と云ひて敵に顔をふらせず油断なくせめ詰る心也
- `座敷にても敷居 鴨居 戸 障子 縁など又柱などの方へ追詰るにも場を見せずと云事同前也
- `何れも敵を追懸る方足場のわるき所又は脇にかまひの有所何れも場の徳を用ゐて場の勝を得ると云ふ心専にして能々吟味し鍛錬有るべきもの也