一四 一 むかつかすると云事

原文

  1. `むかつかする
  2. `と云は
  3. `物毎に有
  4. `一ツにはきはどき心
  5. `二ツにはむりなる心
  6. `三ツには思はざる心
  7. `吟味有べし
  1. `大分の兵法にしてむかつかする事肝要也
  2. `敵の思はざる所へいきふしくしかけて敵の心のきはまらざる内に我利を以てをしかけて勝事肝要也
  3. `又一分の兵法にしてもはじめゆるりと見せて俄に強くかかり敵の心のめりかり働くにしたがひいきをぬかさず其儘利をうけて勝を弁ふる事肝要なり
  4. `能々吟味有べき也