原文 `おびゆる `と云事 `物毎に有事也 `思ひよらぬ事におびゆる心也 `大分の兵法にしても敵をおびやかす事眼前の事に非ず `或は物の声にてもおびやかし或は小を大にしておびやかし又かたわきより不斗おびやかす事是おびゆる所也 `其おびゆる拍子を得て其利を以て勝べし `一分の兵法にしても身を以ておびやかし太刀を以ておびやかし声を以ておびやかし敵の心になき事をしかけておびゆる所の利を受て其儘勝を得る事肝要也 `能々吟味有べし