一七 一 かどにさはると云事

原文

  1. `角にさはる
  2. `と云は
  3. `物事強き物をおすに其儘におしこみがたきもの也
  4. `大分の兵法にしても敵の人数を見てはり出強き所の角にあたりて其利を得べし
  5. `角のるに随ひ惣もみなる心有
  6. `める内にもかどかどに心得て利を受る事肝要也
  7. `一分の兵法にしても敵の体のかどにいたみをつけ其体少しもよわくなりくづるる体になりては勝事やすきもの也
  8. `此事能々吟味して勝所を弁ふる事専也