原文 `うろめかす `と云は `敵に慥なる心をもたせざるやうにする所也 `大分の兵法にしても戦の場に於て敵の心を計り我兵法の智力を以て敵の心をそここことなし `との `かうの `と思はせ `おそし `はやし `と思はせ敵うろめく心になる拍子を得て慥に勝所を弁ふる事也 `又一分の兵法にして我時にあたりて色々のわざをしかけ或は `打 `と見せ `或は `つく `と見せ `又は `入込 `と思はせ敵のうろめく気ざしを得て自由に勝所是戦の専也 `能々吟味有べし