二〇 一 まぎるると云事
原文
- `まぎるる
- `と云は
- `大分の戦にしては人数を互にたて合敵の強き時
- `まぎるる
- `と云て敵の一方へかかり敵くづるるを見ばすてて又強き方へかかる大形つづらをりにかかる心也
- `一分の兵法にして敵を大勢よするも此心専也
- `方々へかからず方々にげば又強き方へかかり敵の拍子を得てよき拍子に
- `左
- `右
- `とつづらをりの心におもひて敵の色を見合てかかるもの也
- `其敵の位を得打とほるに於ては少も引心なく強くかつ利也
- `一分入身の時も敵の強きには其心あり
- `まぎるると云事一足も引事をしらずまぎれゆくと云心
- `能々分別すべし