原文
- `太刀に
- `つよき太刀
- `よわき太刀
- `と云事は有べからず
- `つよき心にてふる太刀はあらきもの也
- `あらき斗にては勝がたし
- `又
- `つよき太刀
- `と云て人をきる時にしてむりにつよくきらんとすればきれざる心也
- `ためしものなどにきる心にもつよくきらんとする事あしし
- `誰に於てもかたきときりあふに
- `よわくきらん
- `つよくきらん
- `と思ふものなし
- `唯人を
- `きりころさん
- `と思ふ時はつよき心もあらず勿論よわき心にもあらず
- `敵のしぬる程
- `と思ふ儀也
- `若はつよみの太刀にて人の太刀つよくはればはりあまりて必あしき心也
- `人の太刀に強くあたれば我太刀もおれくだくる所也
- `然るによつてつよみの太刀などど云事なき事也