現代語訳
- `兵法・二天一流の心は水を手本として、利方の法すなわち利のある手段や方法を行うことから
- `水の巻
- `として我が流の太刀筋をこの書に書き表すものである
- `この道はいずれもこまやかに心のままには書き分け難い
- `たとい言葉は続かなくとも利はおのずと解せよう
- `この書に書付けた内容を一言一言一字一字に至るまで思案すべし
- `大雑把に考えては道を間違えることが多くなろう
- `兵法の利において、一人と一人との勝負のように書付けてある所なりとも、万人と万人との合戦の利と心得て、大きく見立るところが肝要である
- `この道に限って、少しなりとも道を見違えたり道の迷いがあっては悪道へ落ちるものである
- `この書付ばかりを見て兵法の道に達することはない
- `この書に書付けたのを己の身の中に取り込んで、書付を見ると思わず、習うと思わず、借り物にせずに、すなわち己の心から見い出した利となして、常にその身になってよくよく工夫すべし