五 一 太刀の持ち様の事
現代語訳
- `太刀の取り様は、親指と人差し指を浮べ気味にして持ち
- `中指は締めず緩めず、薬指と小指を締める感じにして持つのである
- `手の内側に余裕のあるのはまずい
- `敵を斬るものである
- `と思って太刀を取るべし
- `敵を斬るときも、手の内に変わりなく、手の竦まぬように持つべし
- `もし敵の太刀を、張ること、受けること、当たること、おさえること、があっても、親指と人差し指だけを少し変える感じにして、兎にも角にも
- `斬る
- `と思って太刀を取るべし
- `試し物などを斬るときの手の内も、兵法にして斬るときの手の内も
- `人を斬る
- `といって、手の内に変わるところはない
- `総じて、太刀でも手でも
- `居着くすなわち固着する
- `ということを嫌う
- `居着く
- `は死ぬ手である
- `居着かぬ
- `は生きる手である
- `よくよく心得るべきものである