一四 一 有構無構の数の事
現代語訳
- `有㆑構無㆑構というのは、太刀を構えるということで、あるべきことではない
- `しかし、五方すなわち上段、中段、下段、左脇、右脇に太刀を置くこともあるので、構えともなろう
- `太刀は、敵の出方により、所により、景気にしたがい、いずれの方に置こうとも、その敵を斬りよいように持つ感覚である
- `上段も時にしたがい少し下がり気味になるため中段となり、中段を利を得るのに少し上げれば上段となる
- `下段も折に触れ少し上げれば中段となる
- `両脇の構えも形勢により少し中央へ出せば中段・下段ともなる感覚である
- `したがって
- `構えは有って、構えは無き
- `という理である
- `まず
- `太刀を取ったからにはいかにしてでも敵を斬る
- `という心である
- `もし敵の斬りかかる太刀を、受ける、張る、当たる、粘る、触る、などということがあっても、みなみな敵を斬る機縁であると心得るべし
- `受ける
- `と思い
- `張る
- `と思い
- `当たる
- `と思い
- `粘る
- `と思い
- `触る
- `と思うことによって、斬る際に短所が出てこよう
- `何事も斬る機縁
- `と思うことが肝要である
- `よくよく吟味すべし
- `兵法が大分にあっては、人数立てすなわち隊の配置というのも構えである
- `みな合戦に勝つ機縁である
- `居着くすなわち固着するというのはまずい
- `よくよく工夫すべし