八 一 くづれを知るという事
現代語訳
- `崩れ
- `ということは物毎にあるものである
- `その家が崩れる、身が崩れる、敵が崩れることも、その時機に中って拍子が狂って崩れるのである
- `大分の兵法にあっても、敵の崩れる拍子に乗じて、その間を逃がさぬように追いたてることが肝要である
- `崩れるところの息すなわち呼吸を逃がしては、敵は立て直すところがあろう
- `また、一分の兵法でも、戦の中で敵の拍子が違って崩れ目が生ずるものである
- `そのあたりを油断すれば、また敵が立ち直り、勢い新たになって、捗行かなくなるのである
- `その崩れ目に付け込み、敵が顔を立て直さぬように確実に追いかけるところが肝要である
- `追いかけるというのは真っ直ぐに強い心である
- `敵が立て直れぬように打ち放すものである
- `打ち放すということ、よくよく分別あるべし
- `離れねば後までぐずりかねない
- `工夫すべきものである