一九 一 三つの声という事
現代語訳
- `三つの声
- `とは
- `初・中・後の声
- `といって
- `三つにかけ分けることである
- `時と所により声をかけるということが専一である
- `声は勢いであるから、火事などでもかけ、風・波でもかけ、声は勢力を見せるものである
- `大分の兵法にあっても、戦において初めにかける声は極力威圧する勢いで声をかけ、また戦う間の声は調子を引き下げて底から出る声でかかり、勝って後背後に大きく強くかける、これ三つの声である
- `また、一分の兵法にあっても、敵を動かすため、打つと見せて、頭から
- `えい
- `と声をかけ、声の後ろから太刀を打ち出すものである
- `また、敵を打って後に声をかけるものは勝ちを知らせる声である
- `これを
- `先後の声
- `という
- `太刀と同時に大きく声をかけることはない
- `もし戦の中でかけるとすれば、拍子に乗る声を引き下げてかけるのである
- `よくよく吟味あるべし