現代語訳
- `紛れる
- `というのは
- `大分の戦にあっては、隊を互いに立て合い、敵が強いとき
- `紛れる
- `といって、敵の一方へかかり、敵の崩れるのを見たら捨て置いて、また強い方へかかる、概ね九十九折のようにしてかかる手法である
- `一分の兵法にあって敵を大勢引き寄せるのもこの手法が専一である
- `方々へかからず、一方が逃げたらまた強い方へかかり、敵の拍子に乗じて、いい拍子に
- `左
- `右
- `と九十九折のような感じで敵の気色を見合ってかかるものである
- `その敵の形勢を把握し、敵中を打ち通るにおいては、少しも引く心なく、強く勝つ利である
- `一分での入身のすなわち敵の身に己の身を入れ込むときも、敵の強さに対するにはこの心が要る
- `紛れるということは、一足も引くことを知らず紛れゆくという意味である
- `よくよく分別すべし