二一 一 ひしぐという事
現代語訳
- `ひしぐ
- `というのは
- `たとえば、敵を弱く見做して、己が強めになって、ひしぐという意識が専一である
- `大分の兵法にあっても、敵の隊の形勢を見抜き、または大勢なりとも敵がうろめいて気弱になりかけているところであれば
- `ひしぐ
- `といって、頭から嵩にかかって押しひしぐ手法である
- `ひしぐことが弱ければ敵が盛り返すことがある
- `手の中に握ってひしぐ感覚をよくよく分別すべし
- `また、一分の兵法のときも、己の腕より劣る者、または敵の拍子が違って後ずさり気味になるとき、少しも息つく暇を与えず、目を見合わせぬようにし、一気にひしぐ格好にすることが肝要である
- `少しも立ち直らせぬところが第一である
- `よくよく吟味あるべし