二三 一 そこをぬくという事
現代語訳
- `底を抜く
- `というのは
- `敵と戦う際、兵法の道の利を以てうわべでは勝つと見えても、敵は不屈の心を絶やさぬことで、うわべでは負けても下すなわち底の心は負けぬことがある
- `その件においては、己が俄に変わった心になって敵の心を絶やし、底から負ける心に敵がなるところを見ることが専一である
- `この底を抜くこと、太刀でも抜き、また身体でも抜き、心でも抜くのである
- `ひと道に弁えてはならない
- `敵が底から崩れたときは、己は心に残す必要はない
- `そうでないときは残す感覚である
- `己に残す心があると敵は崩れにくいものである
- `大分・一分の兵法にあっても底を抜くところをよくよく鍛錬あるべし