現代語訳
- `以上、他流の兵法を九か条として
- `風の巻
- `にあらまし書付けた内容は一つ一つの流派の口から奥に至るまで定かに書き表すべきものであるが、わざと
- `何流の何の大事
- `とも名を書き記さなかった
- `そのわけは、流派流派の見立て、その道その道の見解、人に依り、心に任せて、それぞれの考えがあるものであるから、同じ流派でも少々変わるものであるから、後々までのために
- `何流、何の筋
- `などとも書き載せない
- `他流を概ね九つに言い分けたが、世の中の道や人の真っ直ぐな道理から見れば、長さに偏り、短いのを利にし、強い弱いも偏り、あらい細かいということもみな偏った道であるから
- `他流の口、奥
- `と表現せずとも、みな人の知れるはなしである