現代語訳
- ``一人の天子が宮廷を出て諸州を行幸し、三種の神器が南海・四国に埋もれて数年が経つが、これは朝廷の嘆きであり、国家滅亡の原因でもある
- ``そもそもあの重衡殿は、東大寺を焼き滅ぼした逆臣である
- ``当然、頼朝殿が申請しているとおりに、死罪に処すべきではあるが、独り親族と別れて、既に生け捕りとなっている
- ``籠の鳥が雲を恋い慕う思い、また、遥か千里の南海に浮かび、春に北へ帰る雁が友を失うがごとき心は、きっと宮廷へと向かっていることだろう
- ``それゆえ、ただちに三種の神器を都へ返還すれば、重衡殿を許されるはずだ
- ``よって、院宣はこのとおりであり、それを通達する
- `と書かれてあった