修羅
原文
- `これまた一体の物なり
- `よくすれどもおもしろき所稀なり
- `さのみにはすまじきなり
- `但し源平などの名のある人の事を花鳥風月につくりよせて能よければなによりもまたおもしろし
- `これ殊に花やかなる所ありたし
- `これ体なる修羅の狂ひはたらきは鬼のふるまひになるなり
- `または舞の手にもなるなり
- `それも曲舞かかりならばすこし舞かかりの手づかひよろしかるべし
- `弓胡籙をたづさへて打物をもて厳とす
- `その持ちやうつかひやうをよくよくうかがひてその本意をはたらくべし
- `相構へて鬼のはたらきまた舞の手になる所を用心すべし