原文

  1. `
  1. `能に序破急をば何とか定むべきや
  1. `
  1. `これやすき定めなり
  2. `一切の事に序破急あれば申楽もこれ同じ
  3. `能の風情をもて定むべし
  1. `づ脇の申楽にはいかにも本説正しき事のしとやかなるがさのみにこまかになく音曲も舞も正しくすぐなるかかりにすべし
  2. `第一祝言なるべし
  3. `いかによき脇の申楽なりとも祝言欠けてはかなふべからず
  4. `たとひ能はすこし次なりとも祝言ならばくるしかるまじ
  5. `これ序なるが故なり
  6. `二番三番になりては得たる風体のよき能をすべし
  7. `殊更あげ句急なれば揉みよせて手数を入れてすべし
  8. `また後日の脇の申楽には昨日の脇に変れる風体をすべし
  9. `泣申楽をば後日なんどの中ほどによき時分をかんがへてすべし