原文 `抑風姿花伝の条々大方外見の憚子孫の庭訓の為注すといへどもただ望むところの本意とは常世この道の輩を見るに芸の嗜みはおろそかにて非道のみ行じたまたま当芸にいたる時もただ一夕の顕証一旦の名利にそみて源を忘れて流を失ふこと `道已に廃る時節 `とこれをなげくのみなり `然れば道を嗜み芸を重んずるところわたくしなくばなどかその徳を得ざらん `殊更この芸その風をつぐといへども自力より出づるふるまひあれば語にも及びがたし `その風を得て心より心に伝ふる花なれば `風姿花伝 `と名付く