原文 `一 能によろづ用心をもつべきこと `仮令怒れる風体にせんときは柔らかなる心を忘るべからず `これいかに怒るとも荒かるまじき手立なり `怒れるに柔らかなる心をもつことめづらしき理なり `また幽玄の物まねに強き理を忘るべからず `これ一切 舞 はたらき 物まね あらゆることに住せぬ理なり `また身をつかふうちにも心根あるべし `身を強く動かすときは足踏をぬすむべし `足を強く踏むときは身をばしづかにもつべし `これは筆に見えがたし `相対しての口伝なり