現代語訳 `これまた大事である `まず、もとより真似る対象が俗の身であるから俗の仕手が真似るのは容易な事のようであるが、ふしぎと、能の位が上がらねば素顔で演ずる直面は見るに堪えぬものである `まずこれは、およそその物その物に応じて学ぶより他にない `顔つきまで似せる道理もないのに常の顔を変えて表情を繕うことがある `さらに見るに堪えない `振舞や風情をその物に似せるのである `顔つきはどこまでも自分らしく、繕わず、ありのままに保つようにせよ