現代語訳
- `藤原実方の歌いかでかは 思ひありとも 知らすべき 室の八島の 煙ならではなどに詠まれた下野国総社の室の八島に参詣した
- `同行の曾良が曰く
- `この神は木花咲耶姫の神と申しまして、富士浅間神社の祭神と同じです
- `夫の瓊々杵尊に貞操を疑われたとき、四方を塞いだ無戸室の中で、不貞の子ならばお腹の子も死ぬはずと自らをお燃やしになり、その誓いのさなかに彦火々出見尊、火明命、火照命がお生まれになったので、
- `室の八島
- `と言います
- `また、ここが煙を詠む歌枕となったのも、この謂れによるものです
- `それから、
- `このしろ
- `という魚を食すことを禁じている
- `子の代に通ずるとして、縁起の趣旨が世に伝わってもいる