現代語訳
- `黒羽藩の城代家老・浄坊寺某の許を訪れた
- `予期せぬ再会に主は喜び、日夜語り続けたり、その弟の翠桃という者が朝晩世話をしてくれ、自身の家にも招いたり、親類の家にも招かれたりして、何日か過ぎたある日、郊外へ散策に出かけ、騎射三物の一つ・犬追物の跡を見、源実朝がもののふの 矢並繕ふ 籠手の上に 霰たばしる 那須の篠原と詠んだ那須の篠原を分け入って、鳥羽上皇を誑かし、武人らに那須野に追われて殺され、その怨霊は殺生石に変じたという金毛九尾の狐の化身・玉藻前の古塚を訪ねた
- `そこから金丸八幡宮に参詣した
- `源平屋島の合戦において、那須与一が扇の的を射る時、
- `南無八幡大菩薩、別しては我国の神明、日光権現、宇都宮、那須湯泉大明神、願わくはあの扇の真中射させて賜ばせ給え
- `と誓ったのもこの神社のことです
- `と聞けば、感動はひとしおであった
- `日が落ちたので、翠桃の家に帰った