一三 安積沼
現代語訳
- `等躬の家を出て五里ほど先に奥州街道第四十三番目の日和田宿があり、少し離れて安積山がある
- `奥州街道から近い
- `このあたりは沼が多い
- `陸奥守であった藤原実方が、五月四日に菖蒲を葺く風習のなかったこの地の人々に、代わりに葺かせた花かつみを刈る時期も近くなってきたので
- `どの草を
- `花かつみ
- `というのか
- `と、人々に尋ねたが、知っている人がさっぱりいない
- `沼を訪れて人に問い、
- `かつみ、かつみ
- `と尋ね歩くうち、日は山の端まで落ちてきた
- `奥州街道第四十八番目の宿・二本松より右に折れて、安達が原の鬼婆が棲んだという黒塚の岩屋を少し覗いて、第五十三番目の宿・福島に泊まった