三六 金沢
現代語訳
- `大伴家持の長歌に見わたせば 卯の花山の ほととぎすと詠まれた卯の花山、源平合戦で木曾義仲軍と平維盛軍が衝突した倶利伽羅峠を越えて、加賀百万石の城下町・金沢に着いたのは七月十五日であった
- `ここに、大坂から来ている何処という薬種商人がいた
- `その者と旅宿を共にした
- `葉茶屋の小杉一笑という者は、俳諧の上手と江戸でも薄々評判の人でもあったのだが、去年の冬に早死にしてしまったということで、彼の兄・丿松が追善供養のため句会を催すことになった
- `塚も動け 我が泣く声は 秋の風
- `犀川のほとりの、ある草庵に誘われて、
- `秋涼し 手毎に剥けや 瓜茄子
- `道の途中で詠む、
- `あかあかと 日はつれなくも 秋の風
- `金沢の西の小松という所にて、
- `しおらしき 名や小松吹く 萩薄