原文 `千晩ケ岳は山中に沼あり `此谷は物すごく腥き臭のする所にて、此山に入り帰りたる者はまことに少し `昔何の隼人と云ふ猟師あり `其子孫今もあり `白き鹿を見て之を追ひ此谷に千晩こもりたれば山の名とす `その白鹿撃たれて遁げ、次の山まで行きて片肢折れたり `其山を今片羽山と云ふ `さて又前なる山へ来て終に死したり `其地を死助と云ふ `死助権現とて祀れるは此白鹿なりと云ふ