原文 `小烏瀬川の姥子淵の辺に、新屋の家と云ふ家あり `ある日淵へ馬を冷しに行き、馬曳の子は外へ遊びに行きし間に、河童出でて其馬を引込まんとし、却りて馬に引きずられて厩の前に来り、馬槽に覆はれてありき `家の者馬槽の伏せてあるを怪しみて少しあけて見れば河童の手出でたり `村中の者集りて殺さんか宥さんかと評議せしが、結局今後は村中の馬に悪戯をせぬと云ふ堅き約束をさせて之を放したり `其河童今は村を去りて相沢の滝の淵に住めりと云ふ