五八河童

原文

  1. `小烏瀬川の姥子淵の辺に、新屋と云ふあり
  2. `ある日淵へ馬を冷しに行き、馬曳の子はへ遊びに行きし間に、河童出でて其馬を引込まんとし、却りて馬に引きずられて厩の前に来り、馬槽に覆はれてありき
  3. `家の者馬槽の伏せてあるを怪しみて少しあけて見れば河童の手出でたり
  4. `村中の者集りて殺さんかさんかと評議せしが、結局今後は村中の馬に悪戯をせぬと云ふ堅き約束をさせて之を放したり
  5. `其河童今は村を去りて相沢の滝の淵に住めりと云ふ

注釈

`此話などは類型全国に充満せり。も河童のをるといふ国には必ず此話あり。何の故にか