原文 `和野村の嘉兵衛爺、雉子小屋に入りて雉子を待ちしに狐屡出でて雉子を追ふ `あまり悪ければ之を撃たんと思ひ狙ひたるに、狐は此方を向きて何とも無げなる顔してあり `さて引金を引きたれども火移らず `胸騒ぎして銃を検せしに、筒口より手元の処までいつの間にか悉く土をつめてありたり