原文 `上郷村に河ぷちのうちと云ふ家あり `早瀬川の岸に在り `此家の若き娘、ある日河原に出でて石を拾ひてありしに、見馴れぬ男来り、木の葉とか何とかを娘にくれたり `丈高く面朱のやうなる人なり `娘は此日より占の術を得たり `異人は山の神にて、山の神の子になりたるなりと云へり