原文 `盆の頃には雨風祭一とて藁にて人よりも大なる人形を作り、道の岐に送り行きて立つ `紙にて顔を描き瓜にて陰陽の形を作り添へなどす `虫祭の藁人形にはかかることは無くその形も小さし `雨風祭の折は一部落の中にて頭屋を択び定め、里人集りて酒を飲みて後、一同笛太鼓にて之を道の辻まで送り行くなり `笛の中には桐の木にて作りたるホラなどあり `之を高く吹く `さて其折の歌は `二百十日の雨風まつるよ、どちの方さ祭る、北の方さ祭る `と云ふ