三二山の霊異

現代語訳

  1. `千晩ヶ岳は山中に沼がある
  2. `この谷はものすごく生ぐさい臭いのする所で、この山に入って帰ってきた者は実に少ない
  1. `昔、なんとかの隼人という猟師がいた
  2. `その子孫は今もいる
  3. `白い鹿を見てこれを追い、この谷に千晩籠もったので山の名とした
  4. `その白鹿は撃たれて逃げ、次の山まで行って片肢が折れた
  5. `その山を今は片羽山という
  6. `そしてまた、前の山へ来て、ついに死んだ
  7. `その地を死助という
  8. `死助権現として祀られているのはこの白鹿であるという

注釈

`さながら古風土記を読むようである