現代語訳 `上郷村の何某の家でも河童らしき物の子を産んだことがある `確かな証としてはないが、全身が真っ赤で口が大きく、実にいやな子であった `忌まわしいので捨てようと、これを携えて道ちがえ一まで持ってゆき、そこに置いて一間ほども離れたが、ふと思い直し、 `惜しいものだ、売って見せ物にすれば金になるだろうに `と引き返したところが、もはや取り隠されて見当たらなかったという