現代語訳
- `同じ人、六角牛に入って白い鹿に遇った
- `白鹿は神であるという言い伝えがある、もし傷つけて殺すことができなかったら、きっと祟りがあるだろう
- `と考えたが、評判の猟人なので、世間の嘲りを厭い、思い切ってこれを撃ったが、手応えはあったものの、鹿は少しも動かない
- `この時もひどく胸騒ぎがして、普段魔除けとして危急の時のために用意していた黄金の弾を取り出し、これに蓬を巻き付けて撃ち放ったが、鹿はそれでも動かない
- `あまりに怪しいので、近寄って見ると、よく鹿の形に似た白い石であった
- `数十年の間山中に暮している者が石と鹿とを見誤るはずもなく、
- `まったく魔性の仕業だ
- `と、
- `この時ばかりは猟をやめようと思った
- `と言った