現代語訳
- `そうこうするうち、五・六日が過ぎ、右大臣殿が得心がいかないと思い
- `本当の仏が世の末に現れるはずがない
- `自分が行って試みよう
- `と思い、昼の装束をきちんと装い、檳榔の車に乗り、前後に従者を大勢つけ、集まっていた者らを退けさせ、車から牛を外して榻を立てると、梢を瞬きもせず、よそ見もせずに見守り、一時ほどその場にいると、この仏、しばらくは花も降らせ、光をも放っていたが、あまりにもじっくり見守られ、困ってしまい、大きなのすりの羽の折れたのが、地に落ちて、惑いふためくと、子供らが集まって殴り殺してしまった
- `大臣は
- `思うとおりだ
- `と帰った
- `そして、当時の人々はこの大臣を
- `たいへん賢い人でいらっしゃる
- `と言った