七九八式成源満則員等三人滝口弓芸を被る事
現代語訳
- `これも昔の話、鳥羽院が位に就かれていたときのこと、白河院の武者所に、宮道式成、源満、則員が特に的弓の名手であると当時評判であったため、鳥羽院は在位の時、滝口に命じて三人を召された
- `試射すると、一度も外さなかった
- `これをもてなし興じられた
- `ある時、三尺五寸の的をお与えになり
- `これの第二の正鵠を射落として持ってまいれ
- `と仰せがあった
- `巳の刻に給わり、未の刻に射落として参上した
- `練習用の鏃は三人で三手である
- `矢を取って矢取りの者が帰るのを待っていては間に合わない
- `と、残りの者たちは、自分で矢を走って取り走って取りして入れ替わり立ち替わり射、未の刻の中頃、第二の正鵠の周囲を射巡らし、射抜き落して持って参上した
- `これは、もはや楚国の養由基のごとくである
- `と、当時の人々はたいへん誉めたという