二三一五八水無瀬殿むささびの事
現代語訳
- `後鳥羽院の頃、水無瀬殿に、夜な夜な山から傘ほどの物が光って御堂へ飛び込むことがあった
- `西面、北面の武士らは、面々
- `正体を暴いて手柄を立てよう
- `と気にかけ、用心しつつ、空しく日が過ぎていたある夜、大神景賢ただ一人、中島で寝ていると、例の光る物が山から池の上を飛んで行くので、起き上がるのももどかしく、仰向けに寝たまま、よく引き絞って射ると、手応えがあった後、池に落下するものがあった
- `その後、人々に告げ、火を灯し、武士らが見てみれば、それは、おそろしく大きなむささびの、老いぼれ、毛なども禿げた、しぶとそうなやつであった