現代語訳
- `これも昔の話、新羅国に后がいらした
- `その后は、密かに間男を囲っておられた
- `帝がこのことを耳にされ、后を捕らえ、髪に縄をつけて、上に吊り掛け、足を二三尺ほど浮かせて置かれると、后は、為すすべなく、心の内で
- `このような悲しい目に遭っても、助ける人はいない
- `伝え聞くところによれば、この国より東に日本という国があるらしい
- `その国に長谷観音という仏はお姿を現すという
- `菩薩の御慈悲はこの国まで聞き及び、計り知れない
- `願をかければ、お助け下さらぬはずはない
- `と、目を閉じ、念じられると、金の踏み台が足の下に出てきた
- `それを踏んで立てば、苦みからのがることができた
- `人の目にはこの踏み台は見えない